高野 史緒
1966年茨城県生まれ。茨城大學卒業。お茶の水女子大學人文科學研究科修士課程修瞭。1995年第六迴日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』(新潮社)でデビュー。2012年『カラマーゾフの妹』で第58迴江戸川亂歩賞受賞。
ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』の続編を構想していたことは、ドストエフスキー本人の直筆史料や傢族らの証言によって確認される歴史的事実である。『兄弟』は幾多の文學者、研究者たちによって「続編を必要としない完璧さ」と稱えられるが、果たしてその通りだろうか。ドストエフスキーは作中に、続編で明かされるべき真犯人の手がかりを全て殘している。例えば、スメルジャコフはイワンに対して「フョードルを後ろから毆りつけた」と告白しているが、現場に殘されたフョードルの遺體は仰嚮けに倒れ、胸元を血で濡らしていた。それらの矛盾點はドストエフスキーが「ミステリ作傢」でなかったが故の単純なミスにすぎないのだろうか。生涯にわたって犯罪や人の死にまつわる現象を研究し続けた研究者であり、『罪と罰』で現代ミステリもかくやの綿密な描寫をした文豪であるドストエフスキーが、人生をかけた畢生の大作でそのようなつまらないミスを犯すだろうか? 犯罪心理學が當時より一世紀少々進化した今こそ、我々はドストエフスキーが130年前につきつけた「読者への挑戦狀」を受け取るべきではないだろうか。
三兄弟の父親フョードルが撲殺され、長男ドミートリーがシベリア送りとなった「カラマーゾフ事件」から13年。長男ドミートリーはすでに刑地の鉱山事故で死亡し、次男イワンは內務省モスクワ支局の未解決事件課特別捜査官となり、三男アレクセイは修道院を齣て故郷で教師となっていた。ドミートリーの死以來精神狀態が悪化したイワンは、フランスから來た催眠療法士の治療を受け、ある不可解な記憶を取り戻す。それは、カラマーゾフ傢にはもう一人、妹がいたという記憶だった。そのような事実はないはずだ。異母兄スメルジャコフをそそのかして父親を殺させた「真犯人」は自分だという罪悪感に長年苦しめられてきたイワンは、ついにカラマーゾフ傢の謎をすべてあばき齣す決意を固め、13年ぶりに故郷スコトプリゴニエフスクに帰る。イワンは、ペテルブルクから來た心理學者トロヤノフスキーと協力し閤い、「カラマーゾフ事件」の再捜査に著手した。そこで二人が直麵したのは、多重人格、サイコパス、人格障害、フェティシズム等々の異常心理の問題だった。
一方、アレクセイはある決意を固めてモスクワに嚮かう。そこでは事件當時の友人、ニコライ・クラソートキンが秘密の計畫を進めていた……
第58迴江戸川亂歩賞受賞作品。
發表於2024-11-22
カラマーゾフの妹 2024 pdf epub mobi 電子書 下載
圖書標籤: 高野史緒 日本 江戶川亂步奬 推理小說 ◆推理◆ 小說
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