本論集は三部構成により、後漢末から西晉初期にかけての軍製と地域社會、ならびに長沙呉簡に関する論考
を収録する。軍製という視點から國傢と地域社會の関係を論ずることが、本書の目的である。
【本書の構成・內容】
第一部には、曹魏の軍製に関する論考を収める。第一章では、錶麵上は後漢の軍製の枠を逸脫することがなかった曹魏政権が、その內実においては、曹魏獨自の製度に連なるものを著実に準備していたことを指摘する。曹氏による漢魏交替の実現の背景には、都督の獨占による軍事力掌握があったが、宗室の人材枯渇にともない、明帝期には曹氏の都督獨占が崩れた。それに代わって軍事力を手中にした司馬氏は、都督區の分割によって軍事力の分散を図るなど、大軍団を率いて地方に駐屯する都督を牽製し、軍事力のコントロールに腐心することになった。第二章から第四章では、こうした都督製の変化をとおして、曹魏政権崩壊の歴史的背景を分析する。つづく第五章では、都督製の変化にともない都督とそれに従う中級指揮官とのあいだで生じた心情的紐帯の希薄化を扱う。地方とくに辺境における民政や防備をそこなうことなく、地方長官の長期留任による在地化・自立化をいかに抑止するかという課題は、漢代においてすでに顕在化していたものであり、戦亂の時代であった漢魏交替期にあって、この「課題」はいっそう深刻かつ複雑な様相を呈するようになっていた。それを當時の軍製や官製とからめつつ論じ、その基礎のうえに立って、漢魏そして魏晉の交替劇を分析することが第一部の主旨である。
第二部では、地域社會の獨自性に焦點を當てる。第一章においては、多數の羌族が住むという涼州の地域性が、漢魏交替期の當地に自立自衛の動きを招來した背景が論じられる。第二章では、曹魏時代の雍州を舞颱に、都督・州牧を接點とした地域社會と中央集権との結びつきが示される。付章としたものは、第二章でも扱った曹真碑を用いた考察の記録である。
第三部には、長沙呉簡研究會の刊行物に寄稿した論著を収める。第一章では、「嘉禾吏民田傢莂」の記載に依拠し、三世紀なかばの長沙周辺における民の居住狀況について考察する。第二章は、呉簡の実見をふまえ、孫呉の下級軍事製度に対し初歩的検討を試みている。第三章は、長沙呉簡の齣土後まもない時期の整理狀況についての記録である。
發表於2024-11-22
三國軍製と長沙呉簡 2024 pdf epub mobi 電子書 下載
圖書標籤: 魏晉南北朝 森本淳 三國 日本漢學 秦漢史 東國漢學 工具書 魏晉南北朝
第一部中,第三、第五章最為精彩,思路都是軍事權決定王朝命脈,第一章也很有新意,比川勝的集團複閤體更有層次感。
評分第一部中,第三、第五章最為精彩,思路都是軍事權決定王朝命脈,第一章也很有新意,比川勝的集團複閤體更有層次感。
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