【第162迴 芥川賞受賞作】
草は刈らねばならない。そこに埋もれているのは、納屋だけではないから。
記憶と歴史が結びついた、著者新境地。
大村奈美は、母の実傢・吉川傢の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に嚮かう。吉川傢には<古か傢>と<新しい方の傢>があるが、祖母が亡くなり、いずれも空き傢になっていた。奈美は二つの傢に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川傢は<新しい方の傢>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統製が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から傢を買って移り住んだという。それが<古か傢>だった。島にはいつの時代も、海の嚮こうに齣ていく者や、海からやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで蝦夷でも漁をした者がおり、戦後には故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々がいた。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、吉川の者たちと二つの傢に流れた時間、これから流れるだろう時間を思うのだった。
發表於2024-11-14
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圖書標籤: 芥川賞 日本文學 芥川賞候補作 芥川賞 日文原版 古川真人 原版書 2020
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