●辰巳ヨシヒロ
1935(昭和10)年6月10日、大阪市天王寺区に生まれる。中学時代に手塚治虫作品と出会い、マンガを描くようになる。50年『毎日中学生新聞』に投稿した4コママンガがもとで手塚治虫との座談会に出席。その後手塚宅を訪ね、本格的にマンガ家を目指す。一方で大城のぼるとも手紙をやりとりし、51年に描き上げた長編「愉快な漂流記」が大城に認められたのがきっかけで東京の鶴書房からデビュー。54年、大阪の日の丸文庫に持ち込んだ「怪盗紳士」が採用となり、「七つの顔」と改題の上出版。以降は日の丸文庫を主な活躍の舞台とする。55年頃より、従来のマンガの手法に飽き足らなくなり、新たな手法を模索。55年「開化の鬼」「闇に笑う男」、56年「声なき目撃者」「黒い吹雪」などの意欲作を発表。それまでマンガの約束ごとだったデフォルメや笑いを排し、ページ数の多い単行本の特徴を生かしてコマ数を多く使うことにより「コマと時間のシンクロ」を可能にして、よりリアリスティックな作風を確立。57年末、この新たな手法を「劇画」と名付ける。59年初頭には日の丸文庫の作家たちとともに「劇画工房」を結成。後のマンガの変革を生みだす基礎を作り上げる。60年代後半にはメジャー雑誌を巻き込んだ「劇画ブーム」が起こるが、ブームの一方で本来の意味を失った「劇画」に幻滅。シーンに背を向け、社会の底辺に着目した短編連作を手がけるようになる。これらの作品は発表当時こそ大きな反響はなかったものの、80年代以降むしろ海外で評価され、国際的なコミック・フェスティバルにノミネートされること多数。2005年の仏アングレーム国際コミック・フェスティバル、2006年の米サンディエゴ・コミック・コンヴェンションでは、マンガを大人の観賞に堪えうる「芸術」へと引き上げた功績が認められ、特別賞を受賞。2009年4月、ニューヨークで行われた世界文学祭Pen World Voices Festivalでは、世界の芸術をリードする作家の一人として、マンガ家としては異例の招待を受け講演、大好評を博す。本書「黒い吹雪」は2010年にはカナダDrawn & Quarterlyより英語版の出版が予定されている他、2008年に出版された「劇画漂流」は英語、スペイン語で既に翻訳され、今後もフランス語、インドネシア語など世界各国で翻訳予定。代表作品集に「大発見」「大発掘」(共に青林工藝舎刊)他。真のオリジナリティを持った、マンガ史上最重要な作家の一人である。
发表于2024-11-08
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图书标签: 辰巳ヨシヒロ 短篇漫画 コミック
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