【序章 明清搶糧搶米研究の課題と方法】より
本書は明清時代の中國における食糧騒擾を中心とし、関連する諸問題を考察するものである。日本語では、食糧をめぐる民衆の異議申し立ては、米騒動と稱するのが最も一般的である。日本語の米騒動に対応する中國語は搶米(そうまい)となる。搶は「奪う・略奪する」という意味であり、搶米とは他人の米穀を承諾なしに自己のものにしようとする行為、及びそこから派生する騒擾・紛爭である。広大な大地を擁する中國大陸は地理的には、秦嶺―淮河線を境界として北方と南方に區分される。秦嶺―淮河線は年間降水量一〇〇〇ミリメートルの境界でもある。畑作地帯の北方は麥粟等の雑糧を栽培し、主食は小麥の粉食である。一方、南方は稲作地帯で米の粒食と、食糧事情も大きく二分される。それゆえ、搶米で全中國の食糧騒擾を錶記することは適切ではなく、本書においては、北方の麥作粉食(粟・トウモロコシ等の雑糧も含む)地域での騒擾を「搶糧」と、南方の米作粒食地帯での騒擾を「搶米」と錶記し、食糧騒擾・食糧蜂起・食糧暴動を「搶糧搶米」と総稱する。なお本書では、食糧の生産と流通の変動や食糧価格高騰等を原因とせず、騒擾を伴わない食糧竊盜行為は考察の対象から除外する。
本書は次のような視點で明清期の搶糧搶米を考察してゆく。第一に、搶糧搶米がどれほど発生していたのか、発生地域はどこか、どの時期に多発していたのかといった、搶糧搶米発生の長期傾嚮的考察である。抗租・抗糧・奴変・民変等の研究においても、発生件數や発生地域等に関しては、全容が解明されているとは言えない狀況であり、長期傾嚮的考察は民衆運動史研究の重要な課題である。第二に、搶糧搶米の個別事例に関する運動論的考察である。これは、一九一〇年長沙搶米研究の一部に見られるような辛亥革命を終著點とする革命論的なものではなく、傅衣淩のように搶糧搶米を抗租に従屬させるものでもない。搶糧搶米がいかにして始まり、どのような要求を掲げ、どのような人々が參加參與し、どのような人々が攻撃対象とされたのか等について事件に即して考察し、搶糧搶米の行動形態・行動論理の解明を目指す運動論的議論である。言い換えるなら、搶糧搶米の行動と民衆が行動の根拠としていた意識・規範を分析することである。第三には、自然災害・凶作・飢饉・米穀流通・米価変動等、搶糧搶米発生の原因となる諸要因を考察する。第四に、搶糧搶米に対し國傢と社會がどのように対応したかという問題を、官方・民間による食糧の確保・調達、及び分配・米価調節等の諸策からなる救荒を通じて議論する。第五に國傢の搶糧搶米に対する弾圧法規を考察する。官方に搶糧搶米の首謀者として拘束された人々に対し、いかなる刑罰が科せられたのか、また搶糧搶米の禁圧を目的として製定された刑罰の成立過程等を解明する。
發表於2024-11-23
明清食糧騒擾研究 2024 pdf epub mobi 電子書 下載
圖書標籤: 經濟史 明史 日本漢學 社會經濟史 社會史 清史 東國漢學 明清史
薄明厚清。總體史料挺細膩的。
評分薄明厚清。總體史料挺細膩的。
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