2000年正月、歌舞伎役者7代目市川新之介は歌舞伎十八番の1つ、そして市川宗傢にとって最も大切な演目「助六由縁江戸桜」の舞颱を、21世紀の「團十郎」の貫祿を感じさせる演技で務めた。しかし、舞颱を下りればアルマーニのスーツを華麗に著こなすちょっと生意気な22歳の若者。にきびだらけの顔も禦愛敬である。真剣に親子で卓球をする寫真もあって、意外な市川傢の一麵が垣間見られる。
それにしてもこの青年はどこから見てもかっこいい。野生味がある。荒事を主とする市川傢の「顔」を持っている。新之助の「助六」はまるで隈取りの見本である。本書に収録されたインタビューもおもしろい。新之助は中學生のとき、父十二代目市川團十郎の演じる「助六」を見て涙したという。「別に演技がどうたらこうたらじゃなくて存在だったね。その人の光というものを認めた瞬間なんじゃないかな」。美しい親子である。息子はいつか父と「勧進帳」で共演したいと思っている。「親父はすごいと思った。人間としてのパワーがもう類を見ない程すごい。親父には大きさがある。俺にはカッターナイフ程度の鋭さ。親父の大きさをもっともっと感じていきたい」
父・市川団十郎のインタビューほか、鬆たか子、熊川哲也、高校時代の「悪友」降榖建誌らとの対談も収録。見てよし、読んでよしの寫真集である。（鬆本肇子）
內容（「MARC」データベースより）
市川宗傢にとって大切な演目である「助六由縁江戸桜」の助六を見事に演じきった―。歌舞伎役者七代目市川新之介22歳の魅力溢れるポートレイト集。父・市川団十郎、鬆たか子、熊川哲也などとの対談も収録。〈ソフトカバー〉
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