佐々木孝浩(ささき・たかひろ)
1962年2月山口県生まれ。
慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院博士課程中退。
国文学研究資料館研究情報部助手を経て、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫に勤務。現在教授。
専門は日本書誌学および中世和歌文学。
論文に、
「六条藤家から九条家へ―人麿影と大嘗会和歌―」(『藝文研究』第53号、1988・7)
「『とはずがたり』の人麿影供―二条の血統意識と六条有房の通光影供をめぐって―」(『国語と国文学』第70巻7号、1993・7)
「後鳥羽院と恋歌―和歌と信仰の関係をめぐって―」(『明月記研究』第10号、2005・12)
「中世歌合諸本の研究(八)―『歌合 建保三年六月二日』について・附校本―」(『斯道文庫論集』第40輯、2006・2)
「蹴鞠文学の可能性―散佚物語『扇流し』をめぐる臆説―」(『藝文研究』第91号第1分冊、2006・12)
「『僻案抄』解題」(『古今集注釈書影印叢刊1 僻案抄』勉誠出版、2008・11)
「尾州家本源氏物語の書誌学的再考察」(『文学・語学』第198号、2010・11)
「家集としての『慕帰絵詞』―巻五第三段の歌会場面存在の意味について―」(『中世と物語と絵画』竹林舎、2013・5)
「出来の悪い古活字版―慶長元和頃刊『新古今和歌集』の性格をめぐって―」(『斯道文庫論集』第48輯、2014・2)
「断片の集積体―「古筆手鑑」という存在―」(『集と断片 類聚と編纂の日本文化』勉誠出版、2014・6)
「日本の絵入り本の歴史―絵本が出版されるまで」(『出版文化の東西 原本を読む楽しみ』慶應義塾大学出版会、2015・4)
などがある。
发表于2024-11-23
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書誌学は、文学作品を読み解く上で何の役に立つのか。
巻物や冊子といった書物の装訂や形態にはヒエラルキーがあり、書物とそこに保存されるテキストには相関関係がある。また書物に保存されているのはテキストのみではなく、書物とテキストにまつわる様々な情報も秘められているのである。そうした相関性や情報を把握した上で、作品を具体的に読み解く必要がある。
既存の文学研究では明らかにできなかった事柄を、書誌学的な「読み」によって示す、古くて新しい書誌学の具体的活用法!
【本書にまとめた論文は、「書誌学研究は文学研究において何の役に立つのか」という、世に珍しい書誌学の研究所に所属し、古典籍に囲まれながら書誌学の講義を二十年続けてきた自分にとっての、大きな命題に対する答えとして書いてきたものである。……書誌学は文学研究の基礎を固める学問である、これを疎かにした研究を行うと永遠に真実に辿り着けないのである。既存の文学研究に何が足りなかったのか、そのことを考えることが、書誌学を役立たせる方法をはっきりと教えてくれたのである。】……「あとがき」より
【……内容を深く検討するためには、まずその本文の器たる書物の書誌的な情報を抽出し、それを活かしてその本文の性格や価値を確定した上で、研究に用いるように心掛けることが大切であることを明らかにできたものと確信する。これを行うことによって、誤りが少ないより本格的で深い研究が可能となるのである。……基礎的にして即物的でもあるこの研究方法の有効性は、考察を重ねても揺らぐことはないはずである。】……「おわりに—-本書で明らかにしたこと」より
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