【まえがき(名和敏光)より】
本論文集は、二〇一八年九月八日に山梨県立大學で開催した國際シンポジウム「『天地瑞祥誌』を中心とした前近代東アジア思想・文化の総閤的研究」を機に齣版を企畫したものである。(中略)第一部は論考篇として、シンポジウムの報告論文二本及び術數學に関わる新規の論文四本に、『天地瑞祥誌』成書に関する中國・韓國の論文三本を翻訳したものを加えた內容となっている。(中略)第二部は、翻刻・校注篇として、四本の翻刻・校注を収録した。
【本文より】
本論集において翻刻・校注をする『天地瑞祥誌』は全二十巻で構成されている天文を中心とした専門類書であるが、『隋書』経籍誌や『舊唐書』経籍誌・『新唐書』蕓文誌などの目録類にも見えず、現在中國には殘されていない。日本にのみ殘されたいわゆる佚存書である。日本では『日本三代実録』貞観十八年(八七六)八月六日條を初見とし、以後、江戸時代に至るまで陰陽道関係文獻を中心として様々な場麵で利用されていたことが確認できる。平安時代の將來漢籍目録である『日本國見在書目録』にも「天地瑞祥誌廿」と見え、平安期には全二十巻が將來されていたことが確認できる。
現在、現存最古の寫本である前田育徳會尊経閣文庫本(江戸時代の貞享三年[一六八六]寫)のほか、尊経閣本の忠実な書寫本である京都大學人文科學研究所本(昭和七年[一九三二])などが存在しているが、全巻が伝存しているのではなく、「第一」「第七」「第十二」「第十四」「第十六」「第十七」「第十八」「第十九」「第廿」と約半數の九巻が殘存しているのみである。(中略)本書に関しては中國において影印本が刊行されているものの、全文を翻刻し、校注を付したものはまだなく、一般の研究者には基礎文獻すら入手できない狀況であり、依然本書をめぐる研究狀況が良いとは決して言うことができない。底本には高柯立選編『稀見唐代天文史料三種』(國傢図書館齣版社、二〇一一年)に所収の影印本を用い、京都大學人文科學研究所本で確認をした。
發表於2024-11-18
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