【序より】(小鬆 謙)
この本は、分類すれば日本文學のジャンルに屬するものということになるでしょう。事実、論じられている內容は、もっぱら江戸時代の日本のことです。しかし、目次を禦覧になればすぐにおわかりいただける通り、ここで取り扱われているのは、『水滸伝』をはじめとする中國の小説がどのように日本で受容されたかです。従って、この問題を研究するに當たっては、中國文學に対する本格的な知識が要求されます。しかも、『水滸伝』の日本における受容について考えるに當たっては、『水滸伝』版本の問題を理解することが不可欠です。そして、『水滸伝』の版本は、中國文學のなかでも最も複雑な問題として名高いものなのです。
この本を読まれる方々のうち、日本文學を主たる興味の対象としておられる方にとって、『水滸伝』版本をはじめとする中國文學の諸問題について、中村さんが正確な理解を持って研究を進めておられるかどうかは、當然ながら重大な関心事ということになるでしょう。そこに、私がこの序文を書く意味があるかもしれません。中國文學、特に『水滸伝』などの白話文學を専門的に研究していた私から見ても、中村さんの中國文學に対する知識と理解は満足すべきものです。特に、『水滸伝』版本の研究については、この問題について重要な業績をあげておられる名古屋大學の笠井直美教授のアドバイスなどもいただきながら、長期にわたって調査・研究を重ねた結果、中國文學研究の方麵でも第一級といってよい水準に達しています。従って、中國文學研究者の方も、本書を精読すれば、多くのものを得ることができるに違いありません。
發表於2024-11-04
日本近世白話小説受容の研究 2024 pdf epub mobi 電子書 下載
圖書標籤: 小說 東國英華
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