1960年生まれ.東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了.東京大学大学院人文社会系研究科助教授.日本古代史専攻.主な著書に,『律令国家支配構造の研究』(1993年,岩波書店),『古代の天皇制』(1999年,岩波書店),『道長と宮廷社会』(2001年,講談社)などがある.
发表于2024-11-22
日唐律令制の財政構造 2024 pdf epub mobi 电子书
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日本の古代国家は,律令法が中心の枠組みであるため律令国家と呼ばれる.その律令は隋唐の法体系を輸入したものなので,古代国家の支配を考えるためには,日本律令の条文の意味を,唐の条文と比較して考えることが不可欠である.本書は,賦役令(ぶやくりょう)という税などの人民の負担を定めた令を中心に,唐令と日本令を比較検討することを通して,日本と唐の財政と民衆支配の特色を明らかにしようとしたものである.
日唐律令の比較研究は今日まで多くの成果をあげており,特に日本令の独自な部分に注目することで,日本古代の固有なあり方を剔出してきた.税制においても,田租や調庸などに日本固有の特色がみられるが,本書ではむしろ日唐の賦役令という法の全体を考えることにより,唐での二つの原則――課役制と差科制を明らかにし,それに対応する日本での税や力役,予算のあり方を分析した.
また日唐の差異だけに注目するのではなく,むしろ律令制というシステムのもつ古代的性格や日唐の共通性に留意して,古代東アジアにおいて民衆を支配し税を徴収するというのはどのようなことなのか,つまり律令制とはどのような仕組みなのかという問題にも迫ろうとした.
日本古代史研究は,どうしても唐代史の都合のよいところをもってきてつまみ食いすることになりがちである.それを避けて,唐代の制度について突っ込んで分析したところに本書の特徴はあるだろう.西本願寺の大谷光瑞が20世紀初頭に派遣した大谷探検隊がトゥルファンから持ち帰った文書を大谷文書というが,その百点ほどの断片を接合し,唐代の全国への予算指示の文書を復原して,唐代の国家財政を解明した第一章など,中国史研究に寄与する部分もあると思う.一見すると唐代史の研究書のようなところもあるが,これも日本史を東アジア世界の中において考える具体的な作業であると理解していただけるなら幸いである.
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