本号の特集は,「序言」にもあるように,1999 年 3 月に東京大学で開催された宋代史シンポジウム「宋代史研究者から見た中国研究の課題―士大夫,読書人,文人,あるいはエリート」に基づいているという.ここには,4名の宋代史研究者による基調報告と,コメンテーターとして参加した明・清代中国史,イスラーム史,日本史,西ヨーロッパ史の研究者の手になる論考とが収録されている.このような構成には,宋代知識人のありかたを,中国史の枠内にとどまらず,知識人をめぐる歴史研究全体の中で把握しようとするシンポジウムの企図が明確に反映されている.それはまた,地域・時代を問わず、現在の知識人研究の成果と問題点とを一望できる点で,後学にとってもきわめて有用なものになっているといえよう。
かりに科挙に代表される「国家」的な任官システムが存在しない地域・時代を扱う場合でも,ここでの成果はきわめて示唆に富んでいる.知識人が地域エリートでもあるという歴史的事実は,そうしたシステムを前提としながらも,むしろ人的結合関係を軸とした稀少な書物や知識の共有の可能性という点から説明されており,こうした中で自他ともにエリートであることが認容されるような公の領域が,地域レヴェルでも生み出されてきていることに光があてられている.こうした議論は,イスラーム史におけるウラマーのありかたを考える上でもみすごすことはできない。
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